暗殺者は緋色に染まる部屋を見渡す。緋色の絹の布を被ったような死体達の原の中、一人立っていた。 暗殺者は疲れた顔でひとつ溜息をつくと、死体と死体の間を縫うように歩を進めた。 靴の裏は緋と泥が混じったような色をしていた。 障子の方を見ると、紅葉が赤く染まっていた。この部屋は緋に愛されたかのように真赤だった。 血生臭い部屋の中、暗殺者は一人満足気に笑みを浮かべた。 唯一の紙の色がまだ残っているふすまが開いた。少女が立っていた。




「……お相手お願いします。スペルビ・スクアーロ。」
「望むところだ。」




少女は黒髪の毛先を緋に染め、暗殺者は剣の緋を振り落とした。 2人は大きく一歩を踏み出し、銀の刃とまだ緋の残っている剣の刃を合わせた。 刃を離すと、乱れ打つ刃の撃ち合い避けあいが起こる。 激しい金属音が緋色に染まる和室に響く。 互いの刃はそれぞれの体から緋を呼び起こす。 小さな傷ばかりがたくさんできた。




「君、やるね…。」
「テメェもなぁ。勝つのは俺だがなぁ。」
「さぁ、どうだか…?」




時間とともに部屋中の緋は変色する。色は淀み、腐敗臭を放ち始めていた。
















緋色の











(2008.10.04  短い…)