腕をさすると、乾燥した感じのこすれる音がする。テーブルに上半身をあずけ、足元がとてもあたたかい。テレビではポ●モンがやっている。 室内ではかなり暖房をかけて、洋風の部屋なのにこたつまで出して今の服装は半そでのTシャツにハーフパンツだ。 前レヴィにはエコに反してる!!とか怒られたけど、面倒なので全然生活スタイルは変わってない。 最近ではこたつに入っていながらなんでも届く環境にしてみた。 耳かきから洋服まで何でも届くようにした。 着替えもこたつのなかでするようにしてる。 「う゛お゛ぉい!!こたつに入らせろぉ!!」 「どうぞー」 スクアーロは靴を脱いでこたつに足を入れた。 最初は靴を履いたまま入ろうとしたので何度も怒ったっけなぁ。 スクアーロはこたつのテーブルの上を見て顔をしかめた。 「きったねぇなぁ」 「ばか、便利と言いなさいな」 「みかんもらうぜぇ」 「どうぞー」 スクアーロは大きなテーブルの中央にあるみかんに手をのばした。 みかんを手に取ると、指先を上手に使ってへたのところから剥き始めた。 左手が義手ということもあって、かなり下手くそだ。 「…みかんむくよ?」 「頼むぜぇ」 スクアーロからむきかけのみかんを受け取り、皮をむいた。 私はヴァリアーの中でも結構器用なほうだ(ヴァリアーのみんなが不器用なこともあるが) みかんをむき終えスクアーロに返すと、みかんを一粒もらえた。 じわりとした痛みが右手に伝わってきた。 右手の指先を見ると人差し指の皮がむけ、血が垂れそうなくらいに溜まっている。表面張力だっけ?それのおかげでどうにか血は垂れていない。すばらしい 「どうしたぁ?」 「ん?乾燥してたところから血が出ちゃった〜」 「んぁ?みせてみろぉ。」 スクアーロに血が出ている指先を見せた。 それを見たスクアーロはそんなもんなめときゃ治る。の一言。見せるだけ無駄だったようだ。 こたつ周辺にはあいにく絆創膏など、医療品の類は置いていなかった。 「じゃぁスクアーロがなめてよ。」 「一回ヤらせてくれたらなぁ。」 「最低」 「冗談だぁ」 冗談で言ったらブラックジョークでかえってきた。 スクアーロの言う冗談は洒落にならないので困る。 「スクアーロって冗談言ってひっぱたかれたことあるでしょ」 「ボスにフライパン投げられたなぁ。」 「(なんでフライパン…?)テレビとかあんまり見ないの?」 「と違ってぐうたらしてねぇからなぁ」 「失礼な!…冗談?」 「冗談が30%くらいだなぁ。」 「残りの70%は?」 「事実だぁ。」 「…否定はできないな」 ふいに手をみたら血がだらだらと流れていた。思ったより大量だ。 これだから冬は困る。乾燥してると血が止まらない。血の匂いがする。 スクアーロと目があった。右手を掴まれ、引っ張られる。ぱくとスクアーロに指先を噛まれた。 「何やってんの…?つーかなんで噛んでんの?」 「血ぃなめてやってんだろうがぁ。」 「一発ヤらなきゃなんないんじゃないの?」 「冗談だっつってんだろうがぁ」 「そーか…んで、血まずくない?」 「そんなんでもない」 「……あのさぁ、もしさぁみんなが食べるものなくなった時は人間は人間を食べれるかな?」 「…あほぉ。無理に決まってんだろうがぁ。」 「…なんで?」 「食いずれぇだろうがぁ!!俺はお前や他の奴等を食うことはできねぇなぁ。 「私も。」 戻ってきた手先は部屋の明かりに照らされて艶めかしく光っている。 こーゆうのを見てえろいと考える私は病気だろうか? 「ちげぇぞぉ」 「ん?読心術できたっけ?」 「が自分で言ってんだろぉがぁ」 「あちゃぁー」 「多分…なんか美味しそうに見えんだろぉ」 「ふーん…ゼリーとか?」 「俺はプリン派だぁ。」 みかんを食べるスクアーロの唇はなぜか濡れている。紅茶勝手に飲んだな。 そんな唇もなぜか美しく見える。艶めかしいというか何というか…。 右手を見たら、血が固まっていた。触ってみると乾燥してる。今度加湿器買ってこよう。 麗しの彼 (2008.12.13 落ちほんとにないですね。考えてみれば私の小説で落ちのない話多いとおもいます。) |