一本の指を軸に、くるくると銀の輪が回る 豪華絢爛なその一室に窓からは真昼の柔らかい日差しが差し込む。 その美しい光を反射させ、銀の輪はひたすら回り続ける。




ガチャ


「う゛お゛ぉい…何やってんだ …。」
「見てわかんないの?」




スクアーロの手首には、先程 が人差し指で回していた手錠が取り付けられていた。




「わかるに決まってんだろうがぁ!!」


ガチャ


「オイ!!何やってんだぁ!!」
「え、だからー手錠つけてんだって。」
「いや、だから、なんで俺と が手錠で繋がれなきゃなんねぇんだぁ!!」
「今さーそーゆうマスなんだよねー。」
「はぁ!?」
「とりあえず来ればわかるって。」
「う゛ぉ!!」




に(強引に)腕を引かれ、 の部屋まで来た。




「連れてきたよー」
「しししっ、うけるし。写メとっとこー。」
「ム、そうだね。」
「う゛お゛ぉい!!やめろぉ!!アホらしい…。つーか何で俺がここに来なきゃなんねぇんだぁ!!!」
「あぁ、今人生ゲームやってんの。リアルに。ほら、ここのマス見て。」




そう言ってが指さしたのは、ベッドの上に敷かれたおおきなすごろくのような代物だ。 よくみると、マスには『18禁のDVDを見て、影響されて先輩を拘束してくる。』




「こうでもしないとスクアーロついて来てくれないかなぁと思いまして…」
「こんな人生ゲームあるかぁ!!!」




スクアーロがボードをひっくり返そうとするので、3人は全力で止めに入った。




「ちょっとまって!!現金がかかってんの!!ひっくり返したら今までの苦労が…」
「んじゃ、俺回すよー」




ベルはボードの中央にある回転盤を回す。しばらくして止まった回転盤は、3を示している。




「お、俺の左隣の人、3万ちょーだい。」
「えっ!?」




ベルはにぃと笑ってボードのマスを指さす。




「なになに…?『家に高級な絵の具の筆が届いた。左隣の家のひとが欲しがったので3万円で売る。』」
「しししっ。はい、筆。」
「ちくしょうぅ…」




しぶしぶは、財布から3万円ほどのお金を取り出し、ベルに手渡す。




「ししし、いっただきまーす。次、の番な。」
「あいよー」




回転盤がくるくると回る。ゆっくりと止まり、針が差したのは、5だ。




「あ、5だ。」




はドラ●モンのフィギュアを5マス進める。




「えーっと…『庭で草むしりに没頭しすぎて腰を痛める。医療費5000円』」
「「いってらっしゃーい」」
「はぁ…おら、スクアーロも行くよ」
「はぁ!?」




まぁだいたいここのやりとりは分かると思うので、省略させてもらって、「省くなぁ!!」反感のある人もいるようだけど、省略ー。




「うーん、今日もここの庭は綺麗だね。」
「じゃぁ庭の手入れなんて庭師にやらせりゃぁいいじゃねぇかぁ。」
「だめだよー人生ゲームなんだからさー」
「めんどくせぇ…一人でやれよぉ?」
「うん、別にいいよー?」




は花壇の前にしゃがみこむと、スクアーロもつられて中腰くらいになる。 が雑草抜きをすると、スクアーロの腕も引っ張られ、やわらかい土の中に手が埋まる。




「う゛お゛ぉい!!爪に砂が入ったぞぉ!!」
「あらまー、今日に限って手袋付けてないんだねー」




スクアーロを適当にあしらうはしっかりと軍手を装着していた。 スクアーロがを睨むと、も負けずににらみ返してきた。雑草抜き手伝えよゴルァの目だ。 仕方ないのでしぶしぶスクアーロも雑草を抜くことにした。 もくもくと雑草抜きをしていると、2人とも無心になる。 視線は虚空を彷徨い、口を半開きにしている。 しばらくすると、は手の動きを止めた。




「うぅ…そろそろ腰痛くなってきた…。もどろっか。」




スクアーロは軽く返事をすると立ち上がった。は中腰になって腰をおさえ、項垂れている。どうやら腰が戻らないらしく、手を洗ってからよろよろと自室に戻った。




「うぅ…ただいま…」
「おかえりーししっ、もうゲーム終わってんよ。」
「は?」
帰ってくんの遅いしーまぁいっかと思って。な?」
「うぇ―――――――――」
「んじゃ、俺帰るな。バイバーイ」
「ム、儲かったことだし、僕も帰らせてもらうよ。」




パタンと扉が閉まり、残されたのは拘束された先輩と腰を痛めた後輩だけになった。




「う゛お゛ぉい!!手錠の鍵はどこだぁ!?」
「うぁ…さっき洗面所で流れちゃった…。」
「う゛お゛ぉい!!どうすんだぁオラァ!!」
「ほんと腰痛いんだってば…勘弁してー。」




そういうとは人生ゲームのボードが既に片付けられているベッドに身をなげ、うつぶせになった。




「マッサージ」
「できるかぁ!!届かねぇぞぉ!!」
「………。」
「………?」




スクアーロはの様子を見ると、は静かに寝息を立てている。




「(ねてやがる…)」




の頬にかかる髪の毛を耳にかけ、誰もいないのを確認して頬にキスをした。 なんとなくがほほ笑んだ気がした。














デュ・デュ・デュ・デュエット



















(2008.09.20 企画提出作品です)